バウンダリーとは何か
当カウンセリングルームで支援を行う上で、キーとなる概念が「バウンダリー」です。これは日本語では「自他境界」と呼ばれるものであり、こころの世界で「ここまでは自分」「ここからは他人」というものを示す境界線のことを表す言葉です。このバウンダリーによって、私たちは自分と他者を区別することができます。
ただし、ここではバウンダリーとは単に自分と他者を区別する自他境界の機能だけではなく、複雑な人間関係の中で生きる私たちに、自分の持っている力をよりよく使うことができる導くものであると考えます。つまりバウンダリーとは、
①自分と他者をはっきり区別する
②自分の力を効率よく使えるようになる
という二つの機能があるものなのです。つまり、バウンダリーとは、自分と他者をはっきり区別し、自身の力をよりよく使えるようにする自他境界なのであり、当カウンセリングルームで用いるバウンダリーの概念はこの意味で用いるものとなります。詳細は、この記事を参照してください。
当カウンセリングルームがバウンダリーの概念を大切にするのは、相談者さまの悩みの多くが、このバウンダリーを大切にすることで改善に向かうからです。
どんなに難しい問題を抱えていたとしても、バウンダリーの①の機能によって、どこまでが自分が背負わなくてはならなくて、どこからが他人の助けを借りて良いものであるのかが明確とすることができます。それと同時に、バウンダリーの②の機能によって、自分の力をもっとも効率よく使えるようになります(ここには周囲からのサポートを受けることが含まれます)。
そうやって力を集めることによって、最初は解決するのが不可能に思えるような問題も、だんだんとマシになっていきます。また、最初は思ってもいなかったような展開が訪れることもあります。他にも、認知行動療法やトラウマ処理といったカウンセリングの技法もより効果を発揮するようになっていきます。
また、このバウンダリーの概念は、生活を支援する上で総合的な視点を提供してくれる、ピエール・ジャネのこころの経済の概念と密接に結びついています。
当カウンセリングルームがバウンダリーを大事にするのは、このような理由からとなります。