バウンダリーを大切にし、生活を支えるカウンセリングルーム

2025年8月22日

趣味について

人の営みにおいて趣味は、しばしば「生きるのに必須では無駄」「ただの時間の浪費である」と捉えられる。しかし、その非合理的で無駄に見える活動こそが、むしろ生活の質の向上、そして心の回復にとって重要な役割を果たす。

趣味には大きく二つの方向性がある。一つは、集中力や体力を要し、自ら能動的に取り組むことで達成感や「終わらせる」体験を伴うものであり。もう一つは、受動的に楽しみ、心を休ませる側面の強いものである。

まず、能動的な趣味は、エネルギーを消耗するだけでなく、それを使用することでむしろエネルギーを増加させるという働きを持つ。これは体力や集中力が必要とするようなものであり、たとえば登山やランニング、読書や工作といったものがあるだろう。またジャネが指摘するように、エネルギーだけでなくその使用方法である心理的効率も増加させることが期待できる。

一方で受動的な趣味は、休養を促すものであり、エネルギーを蓄積することができるものである。集中力や体力がそれほど必要ではないもの、たとえばアニメやドラマを見たりすることがあるだろう。

一方で、趣味が義務感や競争心と結びつくと、楽しみではなく負担に転じやすい。したがって、評価や生産性と切り離された、一見役に立たないように見えることに取り組むことが、本来の趣味の力を引き出す。合理性や効率を優先しすぎる思考や生活は、人を消耗させることがあるが、趣味はそこに「無駄を受け入れる余白」をもたらし、非合理的であること自体が人間らしさの一部となる。

要するに、趣味とはただの余暇ではなく、人生における心の回復装置であり、無駄を許容することがむしろ人を豊かにするという逆説的な意味を持つものである。これが生活や人生の困難さに立ち向かう力を授けてくれるのである。